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佐々木洋品店のブログ

古い布で作る日々


by 佐々木洋品店

ワビサビを感じるブラウス

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ワビサビについて先日ブログに書きました。





改めて「侘び寂び」とは、日本の美意識の一つ。


一般的には質素で静かなものを示します。


この質素で静かなもの、そして経年劣化を楽しむ美意識。


日本の特権のような「侘び寂び」だが、私はこのブラウスにワビサビを感じた。


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経年劣化が進む中で、奇抜ではなく、静かに補修し、目立たせないように努力している。


目立とうとしていない、さりげない補修はフランスでは「Art」と呼ばれている。


フランスでも日本でも同じだと思うが、


100年前の人間の手先の技術は尊敬に値する。


フランスの古着でははめ込んだようなリペアの仕方をする一方で、


日本では時間をかけて刺し子をしたり、ツギハギしたり、当て布したりする。


そして偶然の産物を生み出し、現代にアートとして残している。


当時はきっとこのブラウスを着て、


「私、おしゃれでしょ。」という顔して着れなかっただろう。


どちらかというと、みすぼらしさを感じ、嫌悪していたブラウスかもしれない。


ここまで綺麗にリペアしているという事は貧乏で買えなかった、または


リペアした母の愛情が詰まったブラウス、または本人が愛着を持ってリペアし着ていたブラウスかもしれない。


どちらにせよ、当時は価値がなかったブラウスだが、


2018年7月佐々木洋品店に来て、私はこのブラウスに29800円という値段をつけた。


これはブラウスに詰まった「何か」を付加価値と感じ、


おそらく私がこれから佐々木洋品店を続けていく中で、


きっと二度と出会うことはないと思ったブラウスで、


一年間最低でも一万枚の古着をチェックする私が二度と会えないブラウスなら


5万円でも10万円でも良いと思える一品だった。


「芸術・アート」というものは人それぞれ、きっとこのブラウスを見て、


「なにこれ、穴空いてるじゃん。」「汚いじゃん」と思う人も多いだろう。


絵画で言えば、「ピカソ」が好き、「ゴッホ」が好き、「モネ」が好き、「クリムト」が好き、「ラッセン」が好き、


逆に「ピカソ」が嫌い、「ゴッホ」が嫌い、「モネ」が嫌い、「クリムト」が嫌い、「ラッセン」が嫌い、


という意見もあるが、彼らには価値がちゃんとついている。


70億人も人間がこの地球に住んでいるということは、誰かしら、価値を共感してくれる人がいるはずだし、


誰もいなかったらそれはそれで面白い感性の持ち主で、その感性に価値がつくだろう。




私が作っている佐々木印ビンテージリメイクライン、私が死んだ後に価値が上がる事あれば良いなと思う。


私が死ぬとすれば、不慮な事故がなければ80歳くらいまで生き、西暦2060年くらい。


きっと木綿や麻の服はなくなっているだろう。


汚れを弾く服なのか、自己修復する服なのか、とにかく半世紀も経てばテクノロジーが


すごいスピードで進み、想像つかない服を着てるかもしれない。


そんな時、「100年前の服を使って50年前のSASAKIが変な服を作った」と紹介され、


アート品になっていたら良いなと、「侘び寂び」を感じながら妄想を膨らませた。


今、大作を作っている。


早く終わらせ、出品したい。





佐々木洋品店
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by sasakiyouhinten | 2018-07-25 10:36 | お取扱い商品